深読み大好き木山さんです

「では、企画の説明からさせていただきますので一度お会いしましょう。場所はどこにしますか?」

小雨の降る六月の日暮れだった。

主宰である、という面識もない正体不明の男性と東京都の片隅で待ち合わせをしなければならなかった。

場所は、都内某所、珈琲一杯およそ八百円の高級喫茶店を指定した。

入り口前待つこと、十分。

はまさきという男の姿はまだ見えない。

茶店へと続く階段の降り場から眼下の光景を望むと、あまりにも多くの人間が足早にすれ違い、それぞれの目的地へ消えていく。

人口密度の高い波の中からはまさきという男の姿を探してみるが、見つかるはずもない。砂漠の中で一粒の石ころを探すようなものである。

九州の片田舎から出てきて早三年。

住まいはなるべく閑静なところに構えたため、未だ都会の喧騒には慣れない。

芝居の道を志しその道半ば。

上手くなりたければとにかく場数を踏め、という師匠の教えを鵜呑みにし、とにかく大から小まで色んな劇団のオーディションを受けてみるが、けんもほろろだった。

今回もオーディションの一部ではあるのだが。

「企画の説明」とは一体なんのことか。

小劇場系の劇団には詐欺紛いの集団も存在すると聞く。

相手の素性は全く預かり知れぬ。

もしや、と思った。オーディションとは名ばかりで実は私に高い壺を売りつけるつもりなのでは。

私は喫茶店の窓に向かって眉をつりあげ、せいいっぱいいかめしい顔を作ってみる。

田舎から出てきて、都会の詐欺集団に騙されるワケにはいかない。

鴨葱になるのはまっぴら御免である。

表情で武装する。簡単に丸め込まれそうな人の良さそうな感じは出さない。

高級喫茶店を指定したのは、不測の暴力沙汰を防ぐためだ。不穏な気配を察したらそれとなく店員に伝えれば良い。

念には念を、と店内に男性の友人を滑り込ませておいた。

予防策は万全だ。正に不落の三段構え。

さあこい。騙せるものなら騙してみろ。

ぶるり、と携帯電話が震える。

「もう先に中に入ってますー。入り口のすぐのところです」

不覚。既に入店済みだったとは。私は息を整え、身嗜みを正す。仕事帰りだったため、服装は至って普通の勤め人という感じだ。

よし、と気合を入れ直し喫茶店のドアを開く。薄暗い店内の中、目を凝らして主宰という男を探す。

どんな相手か。どんな風体か。

どんな面構えか……?

「よろしくお願いしますー。主宰のはまさきですー」

にこにこ。ゆるゆる。

雰囲気ふんわり穏やかボーイ。

あだ名はぷりん。

「じゃあ企画の方、説明していきますねー」

ゆるふわか!

「演劇の中で色んなことをしようと思ってるんです!例えば◯◯◯とか!」

夢が広がりングか!

「木山さんの目指してるものって何ですか?」

真面目か!!!

「じゃあ、これで終わりですけど、何か聞きたいこととかあります?」

はい杞憂でしたーーーーーーーーーーーーー。

知ってたよねーーーーーーーーーー。

その人柄は、あまりにも人畜無害。

入店五分後にはキャラ崩れを起こして破顔していた私が言うのだから間違いない。

いやーはやー。

解散して駅まで向かい、純朴なはまさき少年の背中を見送った後、喫茶店に置き去りにしてきた用心棒、もとい友人に電話をかける。

「あ、もしもし?楽しかったねー探偵ごっこー。今からどこ飲みに行く?」

そんなこんなで、お菓子なウーパーと不思議なルーパーに仲間入りをしたわたくしなのでございました。

 

 

 

本日のブログを担当させていただいております、木山ゆうりです。

年齢は26、身長は151.2cm、体重は49kgを上ったり下がったり。

ブログのアンカー任された、ということは、つまり期待をされているに違いない。

「ブログ当番、まだかな〜。まだかな〜」と楽しみにしていた最初の頃が懐かしい。

いまやその喜びは遠い彼方。

「他の人とは何か一味違うものを書かねばならぬ。相違とはなんぞや。まずはdifferenceの語源から紐解いていこう…………駄目だ!こんな始まり方じゃ!!(書きかけの原稿用紙をびりびりと破き、文豪さながらに机に突っ伏す)」

筆者は、誰に強いられたわけでもないのに独りでに出口も光もない迷路に迷い込み、懊悩していた。

オゥノォオオウ!

今回の共演者である、心の友みさきさんに稽古の帰りしなに相談したところ「ゆうりさんの好きなように書けば良いと思います。楽しみにしています」とのお答えをいただいたため、序盤から好き勝手にのびのびと書かせていただきました。

趣味は読書、アニメ、ゲームです。

特技はギターです。

歌うのが好きですね。

最近は体力作りの一環で筋トレしてます。ジムは良いぞ。

Q.ダンベル何キロ持てる?

A.2kgです。

目標はシックスパックです。

シックスパックまで何ヶ月かかるかな?

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

このブログは私の駄文を書き散らすものではなく、稽古日誌でございやす。

先日、8月19日月曜日。

事の次第は斯様なものでございやした。

 

 

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稽古場選びの天才、武内氏。

入り口が極めて分かりにくい稽古場を選んでしまい、ほぼ全員が定刻を過ぎても到着できず開始を三十分以上遅らせてしまう。

ヨッ!時間の魔術師!

異次元から来てんのかい!

 

さて、今回の稽古のテーマはおおよそ2つ。


1. 己の表現したいものを観客に伝える
2. エチュード内で、各キャラクターのステータスづけを行い、観客に上下関係を理解してもらう

 

1人に5枚ずつの紙を与え、そこに自分の名前と好きなものを書け、と支持するはまさき氏。

各役者陣、好きなものを書く。

さてさて私は、

猫、アーノルド・シュワルツェネッガー、筋トレ、長ネギ、テレビゲーム、と。

書いたら回収され、シャッフル。

そして適当に配り直される。

「はい。じゃあいま手元にあるお題を、声を出さずに身体の動きだけで観客に伝えてください」

私の配られた紙には「千葉ロッテマリーンズ」の文字。

下には小さく武内の文字が。

 


ち、千葉ロッテマリーンズを?

 


「制限時間は15秒か30秒です。どっちか選んでください」

 


恨むぜ。武内。

 


「じ。じゃあ15秒で……」

 


15秒で千葉ロッテマリーンズを???

ええい。ままよ。とにかく行動ですよ。

見ろ!私の渾身の千葉ロッテマリーンズを!ウオォオー!

 


はい。

 


「今の何に見えた?」

「えっ?……うーん。野球?」

 


あーん。違うよーー。

 


まあ、私は千葉ロッテマリーンズのマスコットキャラクターを表現した動きをしたのですが、そもそも前提として相手が千葉ロッテマリーンズのマスコットを理解していないと伝わらないわけです。

 


じゃあ、知らない人にもどうすれば「野球の球団」であることを伝えるのか。

千葉ロッテ」であることを伝えるのか。

 


そこが表現をしていくキモになるわけですね。

"自分の表現したいもの"を相手の分かりやすい形で伝える。

シンプルだけど難しいですね。

精進致しまする。押忍。

 

 

 

ステータスづけを行うエチュードはもっと難しかった。

エチュードとは、台本のない即興で行う寸劇のこと。

ステータスとは、各キャラクターのランクのこと。

例えば5人役者がいるとする。

各役者に1から5のランクを伝え、1の人間は一番強いキャラクターとして振る舞い、5の人間は一番弱いキャラクターとして振る舞う。

2,3,4も各ランクに準じた振る舞いを即興劇の中で行うのが「ステータスづけを行うエチュード」だ。

 


コレがものすんごく難しい。

まず、即興。

誰かが投げた世界観を即興で全員で作り上げるには団結力が不可欠。

また、「いま、誰が何をしたのか」見極めてそれに対する反応を行うことが物語を進行させていく鍵となる。

「自分がこうやりたい!」という演技だけでは物語は成立しない。

他人の意図を見抜く必要があり、それを時には助長し、時には打破する。

それを行うには判断力も必要だ。

そこに、さらにステータスが加わる。

おい!1番を振られたは誰だ?

私は3番だけど……3番ってことは4,5の上に立って、1,2の下にいなきゃいけない。

それなのに2,4,5が分からない!!

あーーーーん!!(時間切れタイムオーバー)

ゼェゼェはぁはぁ。

1分半で随分脳みそが疲れましたなぁ。

頭では分かっていても、行動するのは難しいものだ。

演劇とはなんとも集中力のいる真剣なお遊びなのです。

もっとずっと頑張らねばね。

難しい〜ばっかり言ってますけど超楽しかったです、もちろん。

1人でやるより多人数でやるワークは特に楽しい。

1人でやるやつはやっぱり自分のセンスしか反映されないので、ある意味自分の想像以上のモノは出てこないんですが。

多人数だとごちゃまぜの鍋みたいなもんで、頑張らないとカオスが出来上がるんだけど、自分だけじゃ作れないものが出来上がるんですよね。

「演技は人と人の関係性の芸術だ」とはよく言ったもんだね。その通りだと身を以て知ったよね。


と、いうわけでおもろいものを作れるよう、鋭意努力中でございます。本日の稽古後写真をパシャり。

テーマは「バブみ

 

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………「バブみ」?

うんよし。まずこの写真は全くをもってバブっていない。

バブ味を感じてオギャる、の定義はまず以下の通りかと思う。

https://numan.tokyo/words/JC4vK

つまり、バブ味を感じてオギャるためには「母性を与えてくれるモノ」と「それに対してオギャっている我々」が必要である。

この写真には!!!

見受けたところその両方とも存在しない!!!

「なんか赤ちゃんっぽいポーズ」をとった人間の集合体である。

という反省点を踏まえて、次回は「母性を与える者」と「オギャっている者」を枠に納めるのはいかがだろう。

是非ともやってみたい。

どうしよかな。誰にバブ味を感じようかな。みさきさんか、かれぴか、エリカか、りばぴか。

くっくっくっ……

役者たる者、言葉にはもっと敏感で居たいですね。

みんなも積極的にバブ味を感じてオギャっていこうな。

 

 

 

それではまた。

 

 

 

-終-